車を降りて、2人はショッピングをする。

｢雪菜には、何もいらないって言われたけど、一緒に食べるスイーツ買って帰ろー。｣

桜がそう言って、話していると、目の前に山室高校と書いた部活Tシャツを着た生徒達が通る。

｢あの高校ってたしか、雪菜が通ってた高校だよね。｣

｢そうだね。｣

彼女達はみんなで笑いながら、話している。それと比べ、雪菜は今頃また台所で働いてるだろう。

桜の心は切なさでいっぱいになる。

｢ねえ、雪菜って高校で使ってた物品とか何一つ持ってきてないのよね。まだあの家にあるのかな？｣

｢分からない。捨てられてる可能性もあるし、まだ片付けずに置いたままの可能性もある。｣

｢そうだよね。取り返せないかな。学校にまだ通えないとしても、自分の物が戻ってきたら嬉しいんじゃない？それに教科書とかあれば勉強だって出来るし、通えるようになった時、遅れを取り戻しやすいよ。｣

桜の発言に雅人は考える。

｢たしかにね。あの家へのマークは薄れてきているように思うし、こちらからもそろそろなにか仕掛けてみようかと思ってた。雪菜ちゃんの物が動いた時、橋本組がどんな動きをするかは気になる。
桜、名案かも。検討してみるわ。分かってると思うけど、まだこの話は誰にもしないで。｣

｢もちろん！！雅人ありがとう。だけど無理はしないで。｣

桜の嬉しいのと心配のある複雑な表情を見て、雅人は優しく頭を撫でた。