「雪菜ちゃん!洗濯ありがとうな。」
「この生姜焼きめっちゃ美味しいわ!」

雪菜が働くようになってから1ヶ月ほど経つ。
家事のほとんどはこなせるようになっていた。
料理の腕も認められて、最近は味付けも担当している。

はじめは緊張していたものの、真希や桜、そして組員の人達との関わりの中で明るさを取り戻していた。

組員の人はよく料理を褒めてくれる。美味しいと言って食べてくれるのが嬉しく、雪菜は毎日楽しく働けていた。

喘息の症状もよくなり、毎日1回薬を吸入するだけになった。



「雪菜ー、何か必要なものない??」

「ないです!楽しんできてくださいね。」

桜は雅人とよくデートに行く。雅人は忙しい立場ではあるが、時間をみつけては桜を誘っている。

桜は雪菜をかわいがっており、まだ外には出られない雪菜に何か必要なものはないかと言うが、いつも断られていた。

「雪菜、気を使わなくていいよ。めっちゃ働いてんだから、少しくらい贅沢しても問題ないじゃん。私が16歳の時は欲しいもので溢れてたわ。」

桜の言葉に雪菜は笑う。

「じゃあ、雅人さんとのデートのお土産話楽しみにしてます♡」

雪菜がニヤリとして言うと、

「もう!!歳上をからかわないで!!」

と少し恥ずかしがる桜が答えた。