冬弥は台所に向かう。台所の隣には大きな食堂があった。

「基本朝と晩飯はここでとってる奴が多い。昼は仕事でいないことも多いからな。俺はまあ3食とることもあるけど。
月曜日の朝に組長含めて、集会がある。余程のことがない限り全員参加だ。そしてそのままここで食べるやつが多いから、月曜日の朝は忙しいと思うぞ。」


「姐さん、桜さん、雪菜連れてきました。」

冬弥は台所の扉を開ける。台所と呼ばれてるところには大きなお鍋やたくさんの皿が積んである。

「はじめまして。雪菜ちゃん!大介の妻の真希です。体、大丈夫??」

組長の妻と聞いていたので、怖いイメージがあったが、物腰が柔らかそうな人だった。

「高杉雪菜です。助けていただきありがとうございます。これからご迷惑かけると思いますが、よろしくお願いします。」

雪菜は倒れていたのを拾ってもらったことのお礼と今後お世話になることに対して頭を下げる。

「あっ!!雪菜ちゃんじゃん!体どう??」

桜も奥から出てきた。桜は雪菜が意識のない時に体を拭いたり、着替えさせたりしてくれていた。
桜は姉御肌の25歳だ。

「お世話になったと聞いています。ありがとうございました。これから頑張って働きますのでよろしくお願いします。」

雪菜はまた頭を下げる。

「あっ全然いいよ!大したこと何もしてないから!私は雅人の妻の桜。よろしくね。
てか冬弥怖くなかった??この人愛想ないからー笑」

桜はチラッと冬弥を見て、言う。
冬弥がムスッとした顔をした。

「冬弥が自己紹介もせず、過ごしてたって雅人が笑ってたよー。」

「桜さん、その話はもう…」

真也が大きな声でみんなに言いふらしたので、冬弥はあの後散々いじられたのだった。

「冬弥くんらしいわねー笑」

真希もくすくすと笑う。

「あの、これから何をさせてもらったらいいですか?私頑張ります!!」

雪菜が2人を見て言う。

「んーそうねー。でもまずは体が1番!冬弥くん、雪菜ちゃんはどれくらいからなら初めてもいいかしら?」

「んー、そうですね。喘息や栄養状態はかなり良くなってますが、横になっていたので、体力は落ちてると思います。まだ今は暑いですし、室内の仕事からの方がいいと思います。」

冬弥は言う。

「なるほどね。雪菜ちゃんって料理できたりする?」

真希はたずねる。

「料理は好きですけど、こんなたくさんの人のを作ったことはありません…。」

「それなら大丈夫!!みんなで作るから、心配しないで!うちは人数多いから、皮向いたり、野菜切ってくれるだけでも大助かりだから。」

真希の優しそうな笑顔を見て、雪菜は少し安心する。

「頑張ります!よろしくお願いします!」

「ありがとう!じゃあ早速明日からお願いしてもいい?」

「はい!!」

雪菜は返事をし、頭をぺこりと下げて、台所から出ていく冬弥に続いた。