冬弥の後ろをついて歩く。

明らかに見られている気がする。

｢おー冬弥！！
この子が噂のお嬢ちゃんか！！
可愛いねー！｣

組員である立野 竜也(たての りゅうや)が声をかけてきて、雪菜の顔を覗き込む。

竜也はショートヘアに細眉にピアスがたくさんついている。両腕からは虎のような刺青が見えた。

橋本組にいた人みたいだ…
雪菜は怖くなって、冬弥の後ろに隠れて、シャツを掴む。

冬弥は黒髪テクノカットで背が高く、鼻筋の通った顔立ちをしている。刺青はなく、アクセサリーをつけてる所を見たことがない。
はじめは極道の人と分からなかったくらいだ。

｢雪菜、大丈夫だ。こいつは見た目はこんなんだけど、仕事は出来るやつだし、まあ…悪いやつじゃあねぇ。｣

冬弥の言葉を聞いて、勇気をだして前に出る。

｢高杉雪菜です。お世話になります。よろしくお願いします。｣

雪菜は頭を下げて挨拶する。

｢雪菜ちゃんね！よろしくよろしく！！｣

竜也は雪菜の頭をぽんぽんとし、歩いていった。