「なにかここに来て、悩んでること、気になることとかあるか。」
こんなこと話していいんだろうか。
自分なんかが……
雪菜は気になってることを聞こうか、迷ってしまう。
「今ならなんでも聞いていいぞ。怒ったりしないから。」
雅人が先程より優しめに言う。
「あの……私学校に通ってて、ちょうど先週くらいから授業始まってるんです。無断欠席になってしまってると思うんです。もう辞めなきゃいけないのは分かってるんですけど、どうしたらいいかなと思いまして……」
「あー学校な!そうか、それは気になるよな。」
雅人は頷く。
「雪菜ちゃんは学校好きか?通いたいって思ってる?」
もちろん学校には通いたい。頑張って勉強して受かったんだ。それに友達だっている。
だけどそんなこと言えるわけがない……
「良いんだよ!別に本心言って。通いたいんだろ?」
雪菜は小さく首を縦にふる。
「そりゃそうだよな。ただ今は橋本組の動きが活発で通わせてはあげられない。ただ辞めちまったらもう通えなくなるもんな。今は休学してもらう方向でいいか。いつ通えるようになるかは分からないが、善処しよう。」
「ありがとうございます!!!」
雪菜はまた頭を深く下げる。
もう絶対に学校になんて行けないと思ってた。もちろん今は通えないけど、可能性がある。
そのことが雪菜にとってはとても嬉しかった。
「私、ここで一生懸命働きます。頑張ります。」
雪菜は頭を下げたまま、言う。
「ああ!頼んだぞ。」
雅人は肩をぽんぽんとし、部屋から出ていった。



