「若ー、やっぱり坂本組を立川組が襲撃してるっぽいですね。」

京極組の若頭である京極 雅人(きょうごく まさと)に代々京極組に仕える家系の雅人の側近である矢澤 真也(やざわ しんや)が話しかける。

坂本組の悪事には目に余るものがある。京極組は大きな勢力のため、坂本組からまだ手は出されていないが、坂本組は小さな組を襲ったり、引き抜いたりして、捕まえた人間を奴隷のように扱うと聞く。
薬物は当然、金さえ詰めば人身売買や臓器提供なんかもやっているようだ。

立川組が組で捕まったものの解放のため、動いたのだろう。

立川組は京極組と同盟を組んでいることもあり、近くまで様子を見に来ていたが、とくに援護を頼まれることはなかった。

「ひとまず、今回は様子見とするが、逐一情報はとるぞ。」

雅人達はそう言って、停めていた車まで戻る。

歩いていると道に女が倒れていた。

こんな場所に女が1人で倒れているなんて不自然だ。
スパイなんて言う可能性もある。

「真也。」

雅人の一言で京極組一強い、真也が女に近づく。

「こんなとこで、何してる。」

真也の呼び掛けに全く反応しない。
近くで見るとまだ若い女だとわかる。
体はやせ細り、服は汚れてボロボロだ。

真也はしゃがみこみ、女を揺するが反応がない。

「おい、しっかりしろ!!大丈夫か??」

真也の様子を見て、雅人達も近づく。
この状態はまずいと、医学に詳しくない人間でもわかる。

「こんなとこに1人で女の子が倒れているなんて訳ありだ。いったん組に連れて帰るぞ。」

雅人の一言で真也が女を抱え込み、車に乗せた。