「お待たせしました。」
雪菜が恥ずかしくて、俯きながら話す。


「今来たばっかりだよ。おつかれー。帰るか。」


「あの冬弥さんバイクどうしたんですか?」

「買った。まあ、その話は後でするわ。」

そう言って、雪菜にヘルメットとバイク用のひざ掛けを渡す。

雪菜はバイク用のヘルメットなんて被ったことがなく、頭から押すように被ろうとするが、入らない。

冬弥がふっと笑って雪菜のヘルメットを手に取る。


「力ずくでやっても入らないよ。顎紐を引っ張りながら頭を入れるんだ。」

雪菜は恥ずかしさで、顔が真っ赤になる。
冬弥は顎紐を引っ張りながら、雪菜の頭に被せて、位置を調整する。そして顎下で紐を締めた。


「どう?頭痛かったりしない?」

雪菜は頭を振るがどこも痛くなく、フィットしているのがわかる。

「大丈夫です。」

雪菜が言うと、冬弥が雪菜のヘルメットをぽんぽんと叩く。

「サイズ合っててよかった。あと膝掛けしておきな。走ると寒いし、それに制服のスカート短いから見えるぞ。」

雪菜は受け取ったスカートのようになったひざ掛けを体に巻く。


「しっかり掴まってろよ。」

「はい。」


雪菜は冬弥の背中に捕まる。
冬弥の筋肉質な体に触れて、昨夜のことを思い出してしまい、なんだか照れてしまう。

冬弥はバイクを走らせる。




2人のやり取りを多くの生徒が見ていた。


「甘いねー。てかさ、美男美女すぎるわ。」

多くの生徒が興奮したように話す。



「雪菜、久しぶりに学校来たと思ったら、見せつけてきますねー。」
雪菜と一緒にいた友達が話す。


「本人に自覚はなさそうだけど。」
恵美が言う。


「クラスの男子がこれ見たら落ち込むだろうね。雪菜が戻ってきて喜んでるやつ多かったのに。あんなイケメン来たら勝てないわ。」

雪菜の去っていく背中を見ながら話した。