雪菜は校門の方まで友達と歩く。
彼氏が迎えに来ると言ったら、見たいと言われてしまった。


校門がいつもより騒がしい。


「今日なにかあるのかな?」

恵美が不思議そうに呟く。


「あの人、かっこいいー。」
「誰か待ってるのかな?」
「声掛けてみなよ。」

人だかりの近くに行くと、少し奥にバイクに腰掛けて、そんな声に目もくれず、スマホを触っている冬弥がいた。


声をかけたい女子は多いが、冬弥があまりにこちらに興味がなさそうなので、みんな少し遠くから見ているという様子だった。

冬弥は黒のライダースジャケットに細身の黒のスウェットパンツを履いている。少し短めのライダースジャケットと細身のパンツが合わさって、冬弥のスタイルの良さが際立つ。冬弥がバイク乗る時によく着ている服装なので、決して綺麗な状態って言う訳ではないのたが、着古している感じが抜け感を誘いかっこよく見える。



「かっこいい人ー。」
「モデルさんとかかな?」

恵美達が話す。


冬弥さんやっぱりかっこいい……
目立っちゃってるよ……


雪菜は人だかりの中、冬弥に声をかける勇気が出ない。
迎えに来てくれることは嬉しいけど、こんなことになるなら、もう少し遠くで待ち合わせにすればよかったと思う。


「雪菜の彼氏さ、来てないの?」
一緒にいる友達に聞かれる。


「えっあの…」




「雪菜。」



冬弥に呼ばれる。


みんなが一斉に自分を見ている気がした。


「あっ…はい!!」


雪菜は人だかりをかき分けて、冬弥の元に近づく。

「雪菜まじか!!」
「彼氏イケメンすぎ!!」
「明日しっかり話聞くからね!!」
恵美や友達の驚く声が聞こえる。