シャワーから上がると、冬弥はホテルにある小さなソファーに腰掛けていた。

こういう時はソファーの隣に座るべき??
それともベッドに入る??

ベッドはダブルベッドだ。


おどおどしている雪菜を見て、冬弥はふっと微笑み、目を合わせて、ソファーの横をトントンとする。


「失礼…します。」

いつもなら言わないようなセリフを吐いて雪菜は隣に腰かけた。

「どうした?笑」

冬弥がくしゃっと笑って聞く。
雪菜が緊張しているのが伝わる。

「いえ……なにもありません。」

今日は浴衣で冬弥がいつもよりセクシーな感じがして、目が合わせられない。


「俺は雪菜の心が決まるまで、手は出さないよ。それに明日から学校だろ?今日はゆっくり休も。」

冬弥はそう言って、雪菜の頭を撫でる。
雪菜は冬弥に頭を撫でられることが好きだ。
大きな手で包み込んでくれる気がして、安心する。

この幸せを逃したくない……

雪菜の表情が先程より陰る。


「どうした??なにか不安?」


冬弥は暗い表情の雪菜に話しかける。


「冬弥さん…私、なんていうか…苦手なんです。橋本組にいた時も下手くそって怒られてました。冬弥さんは経験も豊富だろうし、私じゃあ相手にならなくて嫌われ……」

冬弥は話の途中で口付ける。何度も何度も口付けをし、次第に深くなっていく……

「と…うや…さ」

離された口から雪菜は声を漏らす。
雪菜の腰に手を回し、目を見つめる。

「俺がどんなけ雪菜が好きか分かってる?組を出てまでして、一緒にいたいって思ったんだ。俺なりに覚悟してきたつもり。
それに橋本組の奴らなんかに言われたことは全く気にするな。簡単に忘れられないのは分かるけど、俺が思い出しても辛くなくなるくらい愛すから。」

雪菜の目が大きく開かれる。

冬弥さんはいろんなものを置いてきてでも、一緒に来てくれた。そのことには覚悟が必要だったと分かる。
冬弥が本気で好きでいてくれているのが伝わり、雪菜の不安が和らいでいく。


「冬弥さん…好きです。」


雪菜は冬弥に抱きつく。


「雪菜、怖かったら言って。絶対辞めるから。」


雪菜が頷くと、冬弥は微笑んで、抱っこする。