雪菜と冬弥はホテルに戻る。
部屋付きのシャワーを雪菜は浴びる。
冬弥は先に浴びてきていいよと言ってくれたが、さすがに色々申し訳なくて、後でいいですと言った。
気を使わなくていいのにと言いながら、冬弥が先にシャワーを浴びた。

いろんなことが起きた1日だった。
組のみんなの優しさに触れて、冬弥さんと住むマンション決めて、たくさん家電や家具を買ってもらって、初めての回転寿司も食べた。

寂しさと楽しさの交わる忘れられない1日だったなと思う。


今日はお付き合いして、冬弥と初めて一緒に過ごす夜だ。
先程風呂上がりの冬弥は髪が濡れて、首からタオルをかけていた。館内着の浴衣を着ており、帯を少し緩く結んでいたのか割れた胸筋が見えた。かっこよくて、でも恥ずかしくて、あまり目を合わさずシャワー室に来てしまった。

桜にかわいい白に花柄のついた下着セットを送別にってもらったけど、つけるのになかなか勇気がいる。

それに……

雪菜の顔つきが曇る。


私はそういう事が苦手だ。
橋本組で散々下手だと怒られた。
男の人と交わるのが怖い。


冬弥はそれなりに経験もあるし、かわいくて上手な女性ともしてきてるだろう。

竜也から冬弥はモテるって護衛してもらっていた時に聞いた。


がっかりされちゃうかも……。
嫌われちゃたらどうしよ…。


せっかく楽しい生活が始まりそうなのに嫌われたくないよ。
冬弥さんに捨てられたらまたひとりぼっちになっちゃう……。


瞳から零れた涙を雪菜は慌ててシャワーで流した。