「初期費用とか色々払ってもらってすみません。」

雪菜は申し訳なさでいっぱいになる。

「全然いいよ。俺が一緒に住もうって誘ったんだし、気にするな。」

京極組では給金がでていた。キャバクラに行ったりする人間も組にいたが、冬弥はそんなのにあまり興味はなく、医学書とデッサンに使う材料など必要最低限のものしか買っていなかったので、お金は少し貯まっていた。

5日後からは住んでもいいと言われたので、しばらくホテル暮らしになりそうだ。


「家電とか家具も見に行くか。最低限のものは揃えないとまずいよな。」


冬弥はそう言って、2人は大型量販店にやってきた。

洗濯機や冷蔵庫、電子レンジや机に椅子、ないと困るものを冬弥はどんどん買おうとする。

雪菜は申し訳なくて、気が引けてしまう。


「雪菜、一緒に使うものを決めるんだ。俺は雪菜の意見が聞きたい。使いやすそうとか、この性能は必要だとかなんでも言ってほしい。
値段的に無理なものは俺が無理って言うから。
俺は買う必要があるって分かった上で、雪菜に一緒に住みたいって話したんだ。
だから、何も気にしなくていい。
俺は雪菜と対等でありたい。お互い思ってることや知ってることは言い合っていこうよ。
この先、俺は表の世界のルールが分からず、間違えてしまいそうになるかもしれない。その時は教えて欲しいし、雪菜のこと頼りにしてる。頼りにならないと思うような人間を俺は好きにならないから。」

冬弥の言葉を聞いて、雪菜の心にあったグチャッとしたものが溶けていく。
頼ってばかりだと思っていた冬弥が自分を頼りにしてると言ってくれたのが嬉しかった。


「ありがとうございます。」

雪菜はそう言って、自分の意見を言うようにする。