売られた少女はクールな闇医者に愛される

橋本組との抗争には勝ったが、やはり怪我人はでてしまい、毎日治療する日々を送った。

最近は大きな争いがなかったこともあり、大人数の治療に専念することは久しぶりだった。

やはり治療することは楽しい。楽しいなんて言い方は怪我している人間に対してよくないかもしれないが、自分の判断で方針を決め、医術を施し、回復していく姿をみるのは気持ちがいい。

できるだけ早く、痛みが少なく、後遺症を残さない。冬弥がこの組で治療する上で大切にしている事だ。


今回は雪菜に手伝ってもらって助かった。彼女は気が利くので、手伝って欲しい瞬間が何となくわかるのか、必要な時にやって来る。少し教えればよく覚えてくれるし、彼女の優しさに怪我している組員が救われているのがよく分かった。
俺は彼女みたいに優しい一言を添えるってことが苦手だ。

彼女が将来看護師になりたいと話した時、天職なんじゃないかと思った。彼女と一緒に働いてみたいななんてふと思ったが、もちろん口には出さない。
彼女の看護師をしている姿をいつかどこかで見てみたいと思った。