護衛の生活は想像してた以上に楽しかった。彼女の隣にいられることが嬉しい。
もちろんそんな素振りは見せていないつもりだったけど、おそらく多くの人間にバレていたんだろうなと思う。

竜也と2人でいると思うと嫌になって、どんなに遅い時間でも護衛を代わった。俺がメインで護衛するよう指示されてるからという言い訳がましい発言をして、竜也にかわらせた。最初は驚いたような表情をする竜也だったけど、途中からは何も言ってこなかった。

竜也なりに気を使ってくれてたんだと思う。同い歳でもう5-6年一緒に生活している。竜也がおしゃべりなこともあって、口数少ない俺にもよく話しかけてくれた。俺にとってこの組で仲良しな方の人間だ。
仕事もできる竜也が俺の気持ちに気づかないわけがない。何も言わなかったのは彼の優しさだったと思う。




雪菜が襲われた時、俺は心臓が止まるかと思った。
彼女に何かあったら俺は一生後悔しただろう。

幸い怪我はしなかったが、彼女の心の傷を増やしてしまった。

彼女が恐怖でいっぱいになった時、俺はぎゅっと抱きしめた。周りの目なんて関係なかった。

雪菜を安心させたい、少しでも支えたいその一心で体が勝手に動いた。
彼女が苦しそうに呼吸する時も俺はできる限り声をかけて、支えた。彼女に少しでも楽になってもらいたい。その事しか考えられなかった。


彼女の過呼吸が落ち着いて、ベッドに寝かせた。
彼女の涙のあとがまだ残った頬を俺は優しく撫でた。


これから先何があっても俺が彼女を守る。
彼女が元気に今までの生活に戻れるようになるまで。



でもその先もこれからもずっと彼女を守るのが俺の役目だったらいいのにと思った。

ずっと傍にはいられない。彼女には彼女の世界がある。分かっていたけど、この気持ちはもう止められなくなっていた。




……俺は雪菜が好きだ