「雪菜、おはよー」

「おはよっ、えみ!!」

高杉 雪菜(たかすぎ ゆきな)は山室高校2年生。
山室高校は偏差値70の公立の進学校である。

えみこと高田 恵美(たかだ えみ)は高校入学時から仲良くしている親友だ。

雪菜が教室で座っているところに、朝通学してきた恵美が話しかける。

「雪菜さ、ちゃんと寝てる?くま出来てるよ。」

「えっうそ!!くま出来てるぅ!!やば!!」

雪菜が慌てて、目を隠す様子を見て、恵美は笑う。

「家が大変なのも分かるけどさ、体が大事だからね!困ったことあったら言いなよ!」

「えみ、心配してくれてるの??ありがとう!大好き♡」

そう言って、えみに抱きつく。

やめてよ。と恵美はクールに言うが内心嫌がっていないことを雪菜は分かっていた。

「えみ、雪菜おはよー」

2人でじゃれあってると他の友達もやって来て、みんなで朝に会話する。
そんな時間が雪菜は大好きだ。

恵美には両親が10歳の時に交通事故で亡くなり、父の弟の家でお世話になっていることを話している。
そしてその家であまりよく思われていないことを深くは話していないが、恵美はなんとなく感じ取っていると思う。

ただあまり触れてこず、気にかけてくれる優しさに雪菜はかなり救われている。