近くて遠い幼なじみの恋~私の大好き過ぎる片思い日和~

両家の母は顔を見合わせて「全く、男親は…」と呟いて別館の方に溜息を吐いた。

両家の父は見るに耐えかねて別室で酒を
酌み交わし今頃ドラマの話に花を咲かせてるだろう。

「絢、きちんと策は練って来たんでしょ?」

おばさんの言葉に「当たり前」とだけ言って口を結んだ。

とにかく両家の結婚の未来はこの祖父達を
ねじ伏せ無くては先に進まない。
実の親達ですら口が出せないんだから今日が最大の山場。

「行こう」

握られた左手に力が込められ母達によって
椿の間の襖は開かれた。

「絢くん、幸も座りなさい」

30畳はある広い和室の上座に2人の姿を見つけて私達はゆっくりと前に進む。

うちの祖父の言葉に目の前に置かれた座布団を避け私を先に座らせて隣にあーちゃんは
腰をおろし頭を下げた。

「幸、美津さんの着物…よく似合ってる」

顔を上げると目を細めて柊じいちゃんは軽く微笑んだ。

「婆さんには負けるけどな」

じいちゃんの言葉に軽く睨んで柊じいちゃんに「ありがとうございます」とお礼を言う。

「絢、今日の席についての理由(わけ)を話して貰おうか」

理由(わけ)と言う名の今後の説明をしろと
言う意味。

厳しい声がその場に張り詰めた空気が漂わせる。

「日向 幸さんと結婚致したくお願いに参りました。まずはこの箱を開けて中の物をご覧下さい」