近くて遠い幼なじみの恋~私の大好き過ぎる片思い日和~

「あーちゃん、私と結婚して!!」

緊張して我慢出来ず私が先走ってしまい
皆んな目が点。

「「幸〜」」

爆笑と拍手。

「まあ、目覚まし時計4つは勘弁な」

そう言ってあーちゃんは苦笑い。

「絢の照れる顏見たかったのに」

皆んな愚痴りながらまた楽しく飲み始めた。

「さち」とこっそり私を呼んだあーちゃんは「毎朝隣で起こすから」と耳元で囁いて
私のおデコに軽くキスをした。

ーそれから1週間後。


祖母の遺品の鞠(まり)と矢羽根(やばね)模様の色留袖を着付けて貰い響旅館の門の前に立った。

この門を通る時は自分の収入でと決めていたのにまさかこんな形で通る事になるとは。

「あーちゃん!」

もう無理だと諦めていた旅館の入口には微笑む大好きな人が待ってる。

玉砂利を踏みしめながら1歩1歩前に進み
あーちゃんの手を取った。

「さち行くか」
「望むとこ!」

二人で気合いを入れて旅館内を進む。

「頑張れ!」

春昌さん美和子さん、厨房の皆んなが花道を作り応援してくれる。

「さっちゃん、深呼吸ね」

この襖を開ければ待ち受けている2人の祖父。

おばさんが私の右手を擦りながら緊張した面持ちを隠し微笑む。

右手のギブスには友人達の応援の言葉の数々と左手には真新しい指輪とあーちゃんの暖かい手の温もり。

「絢くん、頑張って」

うちの母もギュッと拳を握りしめあーちゃんを応援する。