近くて遠い幼なじみの恋~私の大好き過ぎる片思い日和~

(…汗?)

つーっとした感覚に辛うじて動いた左手で
顔を触ると指にべっとりとした血が付いてきた。

(あちゃ…死ぬのかな)

今までの事が走馬灯のように頭に浮かび
身体は痛くもないのに涙が溢れる。

「さっちゃん!!」

あ、おじさんとおばさんの声と調理場の
人達の声が遠くに聞こえる。

(…旅館の準備があるのに心配させてごめんなさい)

声は出せそうにない。
エアバッグと座席が胸を圧迫してで息が
苦しい。

意識がどんどん遠のいていく。

ーガンガン‼

「さちー!!しっかりしろ」

あーちゃんの声?
状況は分からないけど窓ガラスを叩く音が
聞こえる。
その後も何か聞こえるけど私の意識は全部を遮断してしまった。


「あーちゃん…」

何万回、何億回言ったって飽きる事がない
言葉。

「さち…⁉」

軽く開いた目に飛び込んで来たあーちゃんの顔。

珍しいな…
朝起きた時に見る顏とは全く違う。
焦った顔なのか泣きそうなのか分からない
表情。

「大丈夫だよ」と言って上げたいけど声が
出ない。