近くて遠い幼なじみの恋~私の大好き過ぎる片思い日和~

「ばあちゃんの事…」

「大昔の話。今は死んだ婆さんが1番。
なぁ…幸、将来泣くか笑うかはお前次第。
来月までに考えなさい」

来月とはきっと婚約披露パーティまでにと
言うこと。

「じいちゃん…」

じいちゃんに深々と頭を下げてもう一度
大きい門と中に見える婚約者を目に焼き付けた。



「魚幸でーす!注文の品届けに来ましたー」

父は私の代わりに配達に行こうとするけど
逃げたくなくて響旅館の配達は絶対自分で
行くようにしてる。

「さっちゃーん、そこの持って行きなよ」

手を放せない春昌さんが顎をクイっと動かして電話横に置いてある袋を指した。

「良いのー?」

高級店の紙袋の中身はチョコレートの箱。

「良いの良いの。私が責任持つから」

私の声に奥からあーちゃんのお母さんが
顔を出して袋に次から次へと他のお菓子を
入れて行く。

「おばさん!そんなに食べたらフグみたいになっちゃうって!!」

「もう、面白いこと言うわね~!さっちゃんはちょっと太らなきゃ」

ニコニコ微笑んで「これも」と言いながら
入れて行くから袋はパンパンに。

「お前、それ入れすぎだろう」

「そうかしら?」

通りすがりの大旦那さんでありあーちゃんのお父さんが止めに入った。

「おじさん、こんにちは!」

「こんにちは。これ勝(かつ)に持ってって」

勝とはうちの父の事でおじさんとはやはり
幼馴染。

手渡された紙袋には【愛、ときどき晴れ5話】手書きで書かれた恥ずかしいタイトル名。

「はははっ!昨日泣いてたのこれだ」

「最近寝不足だ」と言いながらも止めれないドラマらしく昨日も父がテレビを占領して
見てた。

「おかしいわよねー。大の大人がこんな
ドラマにハマるなんて」

うちの母も父にテレビを占領されてイライラしながらおばさんと同じセリフ言ってた。