近くて遠い幼なじみの恋~私の大好き過ぎる片思い日和~

(椿の間て確か…響旅館の中で一番高級な
部屋はず)

「もしかして…さっちゃん聞いてない?今日絢の結納なのよ」

ゆ、ゆゆ結納?!
聞いてないんですけど⁈

「絢もずっと断ってたんだけどおじい様の決めた事だから」

私の反応におばさんは綺麗な眉を寄せて
困った顏を浮かべた。

「そうなんですか…」

おじい様は地元でも名だたる有力者であり響旅館の元大旦那。

うちのじいちゃんと仲良しなのが信じられないけど昔から威厳があって怖いイメージしかない。

ー逆らえるわけない。

「絢もお相手の方も時間が取れないから急遽、今日に決まって」

おじい様の言う事は絶対だし仕方ないと言えば仕方ない。
あーちゃんの帰ったら話があるってこの事だったんだ。

「さっちゃん…」

そうだよね。
あーちゃんが誰かと付き合うとか今までなかったのがおかしいくらい。
ただ、それを通り越して結納とか頭が混乱する。

「おめでとうございます!あの今度から市場は私が父と行くからあーちゃんに来なくて大丈夫って伝えて下さい!」

おめでたい事だし幼なじみの門出は祝わないと。

「さっちゃん、あのね」

「早起き出来るようになりましたし、魚屋継ぐ為にも私が市場に行って勉強しなきゃいけないし。本当におめでとうございます!じゃあ調理場に届けて来ます!」

魚屋に産まれてこんな嫌だと思った事は
ない。

自分の大好きな人の結納の鯛を配達するなんて惨めでそして今まで幼なじみに甘えていた自分に心の底から後悔。