次のバイトの日。


私は蓮くんと目を合わせられなかった。


『……最近、距離置いてる?』


唐突に聞かれて、私は言葉を失う。


『オレ、なんかした?』


『してないよ! してないけど……』


けど、私は、知ってしまった。


“蓮くんが、天音ルイかもしれない”ってことを。


そして、彼もきっと、“私が桜井もも”だと知ってしまった。


お互い、気づいているのに、確かめないまま。


──一番近くて、一番遠い。


そんな関係になってしまった。