その夜。


私はルイくんの配信を、なぜか見る気になれなかった。


画面を開いては閉じ、通知を無視して、スマホを裏返す。


 でも結局、気になってアーカイブを開いてしまう。


『……最近、少し考えごとが多くて。ごめん、ちょっと元気ないかも』


ルイくんが珍しく弱音を吐いた。


『俺さ、もし自分の正体がバレたらって、いつも怖いんだよね』


 ──やっぱり……蓮くん……?


『でも、俺のことを“ちゃんと見てくれる人”がいたら……バレても、いいかもって思ってる』


その言葉に、胸がぎゅっと締めつけられた。


もしかして、私に向けて言ってるの?


いや、そんなわけない。ただのひとりごと。


──期待しちゃだめだ。


画面の向こうの彼と、現実の蓮くんを、同一視してはいけない。


混ぜたら、壊れてしまう。


でも私の心は、もうとっくに、混ざり合ってしまっていた。