彼が部屋に戻ったあと。


私の胸はまだドキドキしていた。


偶然なはず。でも、そうじゃない気がする。


もしも──


もしも彼が、本当に“天音ルイ”だったら。


私が毎日「好き」と言い続けてきた人が、目の前にいるとしたら──


信じたくない。でも、知りたい。


私の中で、確かに何かが動き始めていた。