『……してないよ! してないけど……』


彼女のその返事が、何よりも苦しかった。


──「でも」。


その言葉のあとに続く感情は、きっと“戸惑い”と“拒絶”だ。


もし、彼女が俺の正体に気づいていたとして。


それでも、近づいてきてくれたのなら……俺も、本当の気持ちを伝えられたのに。


けど、今の彼女は──俺を見ようとしていない。


推しとしても、蓮としても。

 
その夜、俺は配信を休んだ。


画面の向こうに言葉を投げる自信がなかった。


作り笑いも、軽い冗談も、出てこなかった。


「いつも通り」でいようとすることが、今は嘘みたいで苦しくて。