天音ルイside


俺はずっと、バレないように生きてきた。


顔も出さず、本名も隠して、画面の向こうで“天音ルイ”として存在することで、心を守ってきた。


でも、ある日。


──出会ってしまった。


バイト先で。


小さなカフェのカウンターで。


いつも俺の配信にコメントしてくれてた、“もも”に。


最初は気のせいだと思った。


まさか、あの「桜井もも」がこんな身近にいるなんて。


でも、わかった。


彼女の瞳は、画面越しにいつも俺を見てくれていた、あの“まっすぐな目”と同じだった。


そして今──


俺は完全に、混乱していた。