目を凝らす。
!!!
猫!?
学校の中に猫!
すごく可愛い。
こんなに可愛い猫、初めてみたかも。
黒くて、小さくて、目が大きい。
小さな耳はせわしなく動き、愛らしい。
一体、どこの猫だろう。
赤い首輪がついているが、名前など、書いてある様子はない。
すると、黒猫はあたしの視線に気が付いたのか、こちらへ近づいてくる。
どうしよ………
今、この廊下にはあたし以外、誰もいない。
職員室に連れていくべき?
それとも、放っておくべき?
あたしの脳内で議論が行われている間に、黒猫はあたしの足元まで接近していた。
――はぁ。
仕方ない。連れていくか。
こちらを可愛いらしく見上げている黒猫を、優しく抱き上げた。
授業、間に合うかな。
間に合わなかったら怒られるなぁ。多分。
なんて、珍しく真面目なことを考えているあたしは、あまり好きじゃない職員室へ向かうべく、歩きだした。
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