極上の一杯を、いつか君に。

自分の通っている学園が頭に浮かんだ。

それを頭の中から消した。

「橘くんは、何でこんなに話聞いてくれるの?
良い話でも、何でもないのに」

「俺が楠さんの笑顔が見たいから、っていうのが理由。

いつか俺が開いたカフェで、俺の隣で笑ってくれる楠さんが見れたらいいな」

「楠さん、じゃなくて。
真結、って呼んでよ。

橘くんになら、そう呼ばれてみたい」

「俺のことも、貴志、って下の名前で呼んでよ。

業務外なら、そう呼ばれたほうが俺は嬉しいからさ。

出来そう? 真結」

初めて、自分の下の名前を家族や親友以外から呼ばれると、何だかこそばゆい感じがした。

それに、彼に呼びかけられるとホッとした。

彼になら、何度でも名前を呼ばれてみたい。

この感情は、何だろう?