極上の一杯を、いつか君に。

「そんなこともないと思うぞ。

大学に入って一人暮らしを始めた、6歳下の弟の直斗(なおと)がいる。
アナウンサーになると意気込んで勉強しているよ。

アイツも、高校に入ってしばらくしてからだ。

自分の夢を見つけたのは。

宝月の影響も、多分にあるんだろうがな」

「明るくて、可愛い、というよりは美人で。
英語も堪能で。

多少かじった護身術も会得してますし。

デキる子ですよね。
麗菜は、弟さんには勿体ない、ってちょっと思いません?」

「まぁ、そうだな。

とにかく、進路のことはゆっくり考えろ。
まだ2年生で、時間はある。

どんな答えでも、俺は応援するぞ。

面談はここで終わりだ。

バイトに遅刻するんじゃないのか?」

「そうだった!

また明日会いましょうね、松倉先生」

私はそう言って、昇降口へと向かった。

廊下を走るなという先生の声を聞き流しながら。