極上の一杯を、いつか君に。

その夜、バイト終わりに雨に降られた。

もちろん、傘なんて持っていなかった。

「最悪だ……」

とりあえず駅まで走ろう。
そう考えていると、目の前に大きなワゴン車が停まった。

助手席の窓から、麗菜が顔を覗かせた。

「え、麗菜!?
どうしたの」

「真結、とにかく乗って!」

「麗菜お嬢様から、大体のご事情は伺っています。

本日だけは、寮の監督をなさる方に楠さまは責任を持って一晩預かる旨をお伝えしました。

了承してくださいましたので、お迎えにあがった次第です」

お言葉に甘えることにした。

重厚感のある、見るからに重そうなドアを開けるとロビーがある。

たくさんのメイドさんがズラリと並んで、寸分違わずお辞儀をしている。

漫画かドラマの中の世界のようだ。

ロビーを抜けて、もう一つ重い扉をくぐる。

そこはリビングで、先客がいた。