小さなもふもふ子猫と暮らしている。
ネコのような、でも、ちょっぴり人間のような、でもネコのような。
そう言う生き物と東京の片すみでのんびりと生きている。

夜の公園、どしゃぶりの雨の中、段ボール箱の隅で震えていたその子猫を俺は自宅に連れ帰り、
すぐに獣医を探した。濡れたひろいネコはすぐに洗ってはいけないらしい。弱るから。
獣医は意外と家の近くにいたので、その子猫を清潔なタオルでくるみ、フタを開けたリュックに入れて大切に抱いてそこまで走った。
子猫は3晩入院することになったが、その後は特段大きな病気もせず、元気いっぱいに毎日を過ごしている。
俺はそのオスの子猫に「アミ」と言う名前をつけた。名づけサイトをすみからすみまでじっくりと見て。

俺の職業は作曲家だ。必要に応じて作詞もするし、歌うし、編曲もプロデュースも映像作りも写真を撮ることもアートワークも何でもやる。
年齢は20代後半。独身。東京都某市にある築50年の借家で気ままなひとり暮らしをしていたのだが、アミが来て毎日がいきなり騒がしくなった。
自宅の一部屋に自ら防音材を貼り、防音室にして録音をしているのだが、エアコンの音が入ってはいけないため、そこは基本的にエアコンなしである。
しかし、小さなアミがいるから、居間のエアコンはつけっぱなし。梅雨明け間近。空梅雨が続いて毎日蒸し暑い。アミは小さいので基本的には一日中寝ている。
そして、

うちのエアコンは部屋中を冷やすため、風向きが定期的に変わる。
小さなアミは、その風を追い、現在いちばん涼しいところで寝ることを覚えた。賢い。本当に賢い。
防音室にこもっていた俺は汗だくなのに……