私の当たり前は起きて本を読んで寝ての繰り返し。
辛くも楽しくもない私の当たり前。
それが壊れたのは、とある日の平日だった。
私は窓際のベットの座り本を読んでいた。
そんなとき窓に向かって突進してくる人がいた。
パリーン
大きな音と共に砕け散ったガラス
そこには絵に描いたような美形の少年がいた。
これには私も驚いた。
すると彼はこちらを向いて手を差し出した。
そこには、小さなガーベラの花が握られていた。
「これお前にやるよ。」
と言って彼は私の手にガーベラを置き、どこかに走り去ってしまった。
突然のことで頭が混乱した。
なぜガーベラ?それより彼は誰?
私は手に握られたガーベラを見つめた。
それから、私は近くの花瓶にガーベラを1本差した。
小さな花だけど凛々しく咲いていて美しいと思えてしまった。
看護師さんが、私に向かって言った。
「ガーベラの花言葉は【希望】とか【前向き】とかだったはずよ。彼は貴女の知り合い?」
私は首を横に振った。他人だもの。
だが、希望か。私はフッと笑みが溢れた。
するといつのまにか来ていた、先日の少年が
「なんだ、笑えるじゃん」
と言って笑顔を向けた。
私は思わず口元を抑えた。
「貴女は誰なの?」
そう尋ねると、彼は
「覚えてないならいいやっ」
そう言って出ていった彼。
手を振る後ろ姿は誰かに似ていた。
そして彼は2日に1回病室に来るようになった。
それから会話ははずみ、1ヶ月が経った。