お母さんから聞いた話だと、りのちゃんは幸い、生きていた。
ただ、私を庇い、車に轢かれてしまったため、両足を骨折したらしい。
入院から1ヶ月くらい。私は退院することができた。
そして、翌日りのちゃんに会いに行った。
両親も着いてきた。『お礼がしたい』と。

私が見たのはただただ苦しんでいるだけのりのちゃんだった。
両親はりのちゃんの両親らしき人に深く深く頭を下げ、感謝を伝えていた。私も、深く深く、頭を下げた。
『申し訳ございません……。お詫びにこれでも……』
お母さんは菓子折りを渡した。
『そんなので許されるか』
幼ながらもそう思った。
でも、それよりも、目の前で苦しむりのちゃんの姿がわたしの頭の中に刻まれ、トラウマとなった。