「西野さんてラブレターなんてくれるのね」

「新鮮ではあるよな」

「ラブレターじゃなくて!プラネタリウムのチケットだって」

封筒の中身は確認済で本当のラブレターじゃない。

「良哉は知ってたの?莉桜のこんな拗らせ、ピュアすぎる恋してた話」

拗らせって言おうとした光の腕をトンと良哉は叩く。

「明らかにこいつのお見合いに過剰、つーか考え方がおかしいだろ?それをこう営業マンのスキルで」

「ただ口が上手いだけでしょ」

底抜けに明るい太陽の良哉。
芯の強さを表に出し強い愛情を向けてくれる月のように光。

「出来たよー。エアコンまだ下げる?」

その二人のやり取りに癒される私。

「ガンガンに冷やした部屋でギンギンに冷えたビール!それにはやっぱり」

「鍋よね!」

まだ真夏で猛暑ですけどね。
前に約束してた飲み会は日程の都合で結局うちに集合。

それもなぜか鍋…。

「ほら、莉桜も~!飲みなよ」

「はいはい。ウーロン茶だけどね」

光とグラスを合わせて喉を潤して行く。

「これからどうすんの?莉桜の聖地巡礼の最終日を前にお気持ちをどうぞ」

「そんな聖地と言うほどの物はないよ。最後って仕事でまた会うと思うし」

オープンは来年の夏予定。
まだお世話になる機会は山ほどある。

「莉桜、知らないの?西野さん、この仕事を最後に北欧に行っちゃうらしいよ」

「北欧…?」

「うん、うちの研究員でも彼の天体研究のファンが居てこの間言ってたんだけど、まさか知らなかった?」