会いたくて逢いたくても彼はいない。~ Where Yesterday Sleeps(昨日が眠る場所)~

打ち合わせ込みの思い出の場所巡りは表向きは残り一カ所。

巡ってみると高校時代って遠くには行ってないし同じ場所で話をして笑って少し喧嘩みたいになったりして場所が問題じゃないと痛感した。

「うん!記事も良いし、一番はこれ」

「これは課長の旦那さんの構図とか光の加減とか」

記事と共にある写真は確かに絶賛物。
写真嫌いの西野さんを考慮しての望遠鏡を覗くのみを写した姿は月明りが神秘的で最高の一枚になってる。

「それだけじゃないと思うんだけどなー。莉桜との出会いで輝きが増しちゃったとか」

「元々輝いてたと思うんですが」

「違うの!」

違う?
西野さんはともかく私の心の中も軽くなってる気はする。
これが何なのかは自分でも分からない。

「莉桜も変わったと思うけどね」

恋と思いがちだけどそれもまだ自分で分からない。
先輩をやっぱり過去に出来てない自分がいるから。

それも明日で終わり。
どう気持ちが変わるのか複雑な気持ちで手元のブルーの封筒に目をやった。


「今時の小学生だってこんな面倒なことしないと思うけどね」

凄く冷めた表情の光。

「そうなの?あっ、近藤くん先にビールとかずるい!」

先にプルタブを開けた良哉の肩を叩く私。

「俺は貰ったことない…」

悪びれることなくビール缶を傾けて「美味い!」と叫んでる良哉。

そして3人の視線はガラステーブルの上に置いてあるブルーの封筒に向けた。