会いたくて逢いたくても彼はいない。~ Where Yesterday Sleeps(昨日が眠る場所)~

「西野さん、本当にもう」

私と同じいや私以上に必死に探してくれてる。
その姿に何かが胸を込み上げて来て私は彼の隣にしゃがんだ。

「彗の形見だろ」

「え…っ」

彼からその名前が出て来るの…?

「彗は…、俺の双子の弟。外で話をしようか」

私の腕を取りエレベーターに力強く引いていく。

声が出ない。
急に言われて戸惑うけど見上げた横顏も
後ろ姿も同じで引かれる腕を払うことも
出来ない。

「同じ…」

私の呟きが聞こえたのか彼の足がピタリと
止まって掴んでた腕も解放された。

「中2の時に親の離婚で彗は父親に俺は母親に引き取られてお互い別々に生きて来たんだ」

真っ正面から見られて接し方に戸惑う。
似てるんじゃなくて同じ顏。

ずっとまた逢えたら殴りたいと思ってた。
でも本人じゃない。

「言っとくけど出会ったのは偶然だよ。仕事も受けるつもりがなかったくらいだし。ただ鈴木さんとメールをしてるうちに思い出したんだ」

「思い出した…?」

「彗がフィンランドの神話が好きだったこと。その話を鈴木さんにもしてたこと…フィンランドの神話に詳しかったよね」

確かに私は彼にフィンランド神話のメールをした。
当たり前のように送ってた内容だけど一般的に話題とするならギリシャ神話の方が皆んな詳しいかも。

「初めて俺を見た時の反応で確信した。鈴木さんが彗の話してた人だって」

「…先輩は、何を」

「物怖じせずに話をしてくれる面白い人だって。一緒に星を見て…まあ、そんなの鈴木さんが一番覚えてることだね」