会いたくて逢いたくても彼はいない。~ Where Yesterday Sleeps(昨日が眠る場所)~

「頂きます」

昨日倒れたのは寝不足と軽い熱中症で確かに塩分は大事。

でも今の問題はそこじゃない。

「西野さんは100%無いです」

「何かピンと来たんだけどな~。見た感じお似合いだったし」

モゴモゴとアメを口に入れてメールのチェック始めた。

「仕事に絶対恋愛は持ち込まないです」

「莉桜ってそう言うタイプだもんね。仕事はきっちりやってくれるし」

今回ほどの大きいテーマパークの案件に私レベルの一般社員が抜擢されるなんて普通ではないこと。
仕事振りを認めて貰えたことは素直に嬉しい。

「でもね、絶対って絶対じゃないんだよ」

「課長、深い話みたいに言ってるけどそれ中身ない感じですよね?」

「まぁーね!」

微笑んだ課長がボソッと「楽しみ」と呟いた言葉は私には聞こえてなかった。

私はただ過去を終わらせたいだけで新しい恋愛を本当は望んでないのかも知れない。
ただお見合いに逃げてるだけ。


「落ち着くんだよね…」

いつもの5・6階共有のフリースペースで
甘いカフェラテを飲みながらパソコンを開く。

仕事からの現実逃避とも言えちゃうけど
この場所、この時間が一番好き。

「うーん…。一番のメインはこれだよね」

海と宇宙のテーマパークでうちの課長と私が担当するのがプラネタリウムの広報。

ただのプラネタリウムではなく床は宇宙でも使われる特殊素材で覆われたガラスで出来ていて足下を魚達が縦横無尽に泳ぐ。

海の生物が自由に泳ぐ姿を下に見つつ上は満点の星空そして微かに香るアロマ。
視覚、聴覚、嗅覚、をくすぐる施設になっている。

「写真はこれでっと。内容のメインは夏の大三角形か…」

江本さんが送ってくれた大量の写真を確認しながら頭の中ではプラネタリウムで上映される予定の夏の大三角形が気になる。