会いたくて逢いたくても彼はいない。~ Where Yesterday Sleeps(昨日が眠る場所)~

西野 陸玖(にしの りく) 30歳
国の宇宙開発機関にも精通していて民間企業と宇宙開発や人工衛星の研究にもプロジェクトで携わりこの大学でも客員教授として研究や講師を行ってる凄い人。

今回その彼に相談役兼アドバイザーをお願いしている。

「変わり者なのかな…」

私の知ってる天体に詳しかった人と比べて彼を追い出すように軽く頭を横に振った。

「莉桜ちゃーん、こっち!」

「江本さん」

噴水近くのベンチに座り私に手を振る今回写真の撮影をお願いしてる担当カメラマンさん。

仕事のお付き合い的には2年目だけど奥様である江本課長とプライベートでもご一緒させて貰ってるから結構お付き合い的には長い。

「今日はよろしくお願いします。江本さんの力が無かったら今回の取材は無理でした」

写真とかインタビューが嫌いな今日の人物に最初のアポイントを取れたのはこの人のおかげ。

「俺はほとんど何もしてないよ。奈緒子の伝手(つて)でOK貰ったような物だから」

ケラっと笑って「行こうか?」と構内に続く階段を指さした。

「緊張する?」

「そうですかね…」

手と額にあぶら汗でジトっとする。

あんなにメールで再考させられれば気分が浮くはずがない。
それに嫌でもきつくても話を聞かないといけないプレッシャーが凄い。

これは私自身との戦い。
抜け出したい足掻きでもある。

「ここだね。さすがにホール内は暗いからちょっと呼んでくるよ。莉桜ちゃんは座ってて」

このホールで西野さんは講演中だったらしくその後の時間を貰うことになってる。

「ほらお水でも飲んで」

自販機で購入した物を私に持たせ近くのソファに機材を置きホールへ消えて行った。

「質問内容と、資料の確認しなきゃ」

地球は太陽系に属する惑星のひとつ。そして月は地球という惑星の周囲を巡る衛星。
水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星という7つの惑星が存在する。

「こんな初歩的な物を今さら見てもね」

西野さんの著書も一通り目を通して準備はして来た。