会いたくて逢いたくても彼はいない。~ Where Yesterday Sleeps(昨日が眠る場所)~

「そんなことより、まだ超える相手見つかんないの?」

そんなことってコップが持てないんですけど。

「居たかも知れないけど全部断られてるから何ともね」

水を飲むのは諦めてツヤツヤ真っ白なご飯をパクっと口に入れゆっくり咀嚼する。

「忘れられないよな」

良哉の営業スキルは中々の物で巧みな話術で私の過去は全部白状させられてる。
余計なお節介と思う時もあるけど良哉の
優しさに感謝してる部分も。

「近藤くん、光のことですか?」

「うるさい。残さず食べろよ!」

悪態吐くけど優しい顏立だから迫力も怖さも微塵も感じない。

逆に可愛くさえ思える。
それに「残さず食べろ」なんて何か嬉しい。

「次が待ってるな」

どんどんお客さんが入ってくるし外にも列になってる。

「急ぐしかないね」

周りの目を考えてご飯を放り込んで宣言通り良哉の奢りで店を急いで出て車に乗り込んだ。


「ここで良いのか?」

社有車で施設入口まで送ってもらい軽く背伸びする。
助手席で眠いとは思ってもやっぱり眠れそうにもない。

この状態は身体にきてるとは分かっていてもやっぱり眠れない。

「ありがと。ゆっくり歩くよ」

この時季は毎年寝つきが悪くていつも寝不足。
もう仕方ないと諦めてるから良哉に変な心配を掛けさせたくない。