私の中にあるモノ

ーーーーー…俺は薄暗い廊下に立ち尽くし、走っていく、みなっちゃんの背中を見つめていた。

廊下には、転々と赤い雫がこぼれていた。

みなっちゃんが抱き締めていた、誰かさんの腕からこぼれた血だ。

聞きそびれたけど、アレ、誰の腕なんだろうな。

聞かなくても大体分かる。…多分、あの腕は山口教授のものだろう。

自分を造った教授…謂わば、自分の親も同然の存在から。

腕をぶった斬って、持ち出してくるなんて…。

みなっちゃんも、なかなかやるなぁ。

俺とは度胸が違うよ。度胸が。

…え、みなっちゃんを止めなくて良かったのか、って?

なんで止める必要がある?

それがみなっちゃんの意志なら、俺に止める権利はないだろ。

それにさ、俺達竜人は、遠からず寿命を迎えて死ぬんだ。

どうせ短い生涯なんだから。

好きなことをして、好きなように生きて、好きなように死ねば良いじゃないか。

それを止める権利なんて、俺はもちろん、どんな人間にも、神様にも、竜にだってない。

みなっちゃんはきっと、自分が正しいと思ったことをしているのだ。

だったら俺も、自分が正しいと思ったことをするよ。

それがきっと、何が正しいのか分からない、この世界で…唯一、正しいことのはずだから。

例え、これがみなっちゃんとの、最後の別れになったとしても。

みなっちゃんが選んだことなら、俺はそれを尊重する。

…怖くなんてないさ。

死んだら、仲間に会える。

先に死んだ仲間達に。

だからみなっちゃん、あんたさんは、先に行って。

俺がいつかそっちに行った時、笑顔で迎えてくれよな。

そうすれば…そう思えばきっと、少しは死ぬことも怖くなくなるだろうから。