私の中にあるモノ

私の脳裏に、古い記憶がうっすらと蘇った。

…暗くて広い、部屋の中。

部屋の中央に、ぽつんと置いてあるガラスのカプセル。 

そのカプセルの中に…剥き出しになった…、

…。

…そこで、記憶が途切れた。

「っ…」

「ムリカお姉ちゃん、大丈夫…?」

…駄目だ。これ以上は。

思い出すべきなんだろう。だけど…思い出すことが、怖かった。

「…うん…。だい、じょうぶ」

私は無理矢理に微笑み、ムメイちゃんを安心させようとした。

「私は大丈夫。平気だから。心配しないで」

「ムリカお姉ちゃん…。…でも…」

「本当に大丈夫だよ。…ごめんね、折角、ムメイちゃんが色々と教えてくれたのに…」

私、この期に及んで、まだ臆病なままだ。

本当は全部、手を伸ばせば届くところにあるのに。

恐ろしさのあまり、手を伸ばすことさえ出来ない。

「ううん…。昔は、ムリカお姉ちゃんが私に、たくさん色んなことを教えてくれたから…。今度は私が教えてあげるの」

そんな、臆病な私にも。

ムメイちゃんは優しく、私に笑顔を向けてくれた。

…そっか。

「ありがとう。…凄く助かるよ」

「うん。えへへ…」

得意げに微笑むムメイちゃん。

すると。

不意に時計を見たムメイちゃんは、慌てて立ち上がった。

「あ。大変だ、そろそろ訓練、行かなきゃ」

「…これから?」

「うん。きょーじゅと約束してるの」

「…そっか…」

…本当に、偉いね。ムメイちゃんは。

私とは大違いだ。

「ムリカお姉ちゃんは?訓練、行かないの?」

「…うん…。もう少し、ここで本を読んでいくよ」

「そっかー…。じゃあ、また後でね」

「うん。また後で」

ムメイちゃんは、笑顔で私に手を振り。

元気に、図書室を駆け出していった。