私の中にあるモノ

…武藤くん達が脱走を企て、そしてそれが失敗した、

忌まわしい夜が明け、朝がやって来た。





私はこの日、訓練室には行かなかった。

その代わり、私は朝から図書室にやって来て。

例の本を…あの古ぼけた竜の絵を、ひたすら見つめていた。

一番最初の竜…。祖竜の絵に向かって、私は。心の中で話しかけた。

…あなたは一体、何を考えているの?

遥か太古の昔、竜族は人間に滅ぼされたという。

彼らは何を考え、何を思いながら散っていったのだろう。

そして今、その竜族の血を受け継いだ、私達竜人という…新しい種族が生み出されて。

こうして無惨に散っていくさまを彼らが見たら、どう思うのだろう。

人間の愚かさを嘆くだろうか。

それとも、人と竜を混ぜた私達を、穢らわしいと厭うだろうか。

人間は、竜の力を畏れながらも。

自分達の繁栄の為に、その竜の力に縋ることを、どう考えているのだろう。

竜は本当に…人間のことを…。




「…考え事かい、みなっちゃん」

「…此代…」

ぼんやりと、祖竜の絵を眺める私に。

いつの間にか此代がやって来て、声をかけてきた。