身振り手振りで懸命に弁解しようとする獅童君。
好戦的だった時とは別人のように狼狽している。
そんな獅童君の姿を前に、大神君はどこか楽しそうだ。
獅童君、からかわれている事に気付いていないのかな……。
止めるのも野暮だと思い、暫く見守っていたのだが、獅童君が余りにも真剣過ぎて私の限界が来てしまった。
「――っふ、あはは」
我慢出来ずに吹き出してしまう私。
「鈴、笑っちゃだめだよ――っふ」
釣られるように陽華ちゃんも笑い出し、辺りに和やかな空気が流れる。
「おい、何笑ってんだよ!」
怒りを露わにする獅童君。
けれど、言葉とは裏腹に、その表情は羞恥で満たされていた。
「ごめんごめん、でも、少しは距離が縮まったんじゃない?」
陽華ちゃんは笑い涙を拭いながら、二人に向かって問いかける。
獅童君は観念したように口を開いた。
「優牙……お前、あの事件があった後、俺を避けてただろ」
訥々と話す獅童君の言葉に、大神君は静かにうつむく。
「それは、俺と居ると迷惑がかかるかと思ったからだ。実際、嫌な思いしただろ?」
「確かに事件直後はな……。けど、俺は頼って欲しかった。友達として」
「じゃあどうして、俺を「猫殺し」なんて呼んだんだよ」
大神君の辛そうな表情と言葉に、獅童君は眉根を寄せた。
「何でって、分かんねえのか?」
二人の間に流れる沈黙。
「うーん、わからん」
右へ左へ頭を傾げながら悩む大神君に、獅童君はガックリと肩を落とす。
「……お前と関われる最終手段だからだよ」
「最終手段?」
「お前、猫殺しって言った奴らには結構言い返してただろ? だから、そう呼んだら反応してくれるんじゃないかと思ったんだ。ずっと無視されてたから。でも、それがお前を傷つけてたんだよな。ごめん」
素直に謝る獅童君に、面食らったような表情を作る大神君。
「そうか……そうだったのか……」
途切れる会話。
無言の二人。
けれど、言葉を交わさずとも、すれ違っていた時を埋めていくような穏やかな空気が流れていた。
良かった……。
でも、ここで終わっていいのだろうか。
誤解が解けたとしても、昔みたいに仲良く出来るかどうかは別問題だ。
このまま解散なんてしてはいけない。
連絡先の交換はもちろん、次に会う約束も取り付けて、今日みたいに皆で遊んだり、勉強会をしたり、それと――、
「鈴ちゃん」
「は、はい!」
反射的に返事をした私の前に、微笑みを浮かべた獅童君が立っていた。
「君に会いたかったのは、優牙との仲を取り持ってもらおうと思ったからなんだ」
「それで学園祭に……?」
獅童君は頷き、恥ずかしそうに頭を掻いた。
好戦的だった時とは別人のように狼狽している。
そんな獅童君の姿を前に、大神君はどこか楽しそうだ。
獅童君、からかわれている事に気付いていないのかな……。
止めるのも野暮だと思い、暫く見守っていたのだが、獅童君が余りにも真剣過ぎて私の限界が来てしまった。
「――っふ、あはは」
我慢出来ずに吹き出してしまう私。
「鈴、笑っちゃだめだよ――っふ」
釣られるように陽華ちゃんも笑い出し、辺りに和やかな空気が流れる。
「おい、何笑ってんだよ!」
怒りを露わにする獅童君。
けれど、言葉とは裏腹に、その表情は羞恥で満たされていた。
「ごめんごめん、でも、少しは距離が縮まったんじゃない?」
陽華ちゃんは笑い涙を拭いながら、二人に向かって問いかける。
獅童君は観念したように口を開いた。
「優牙……お前、あの事件があった後、俺を避けてただろ」
訥々と話す獅童君の言葉に、大神君は静かにうつむく。
「それは、俺と居ると迷惑がかかるかと思ったからだ。実際、嫌な思いしただろ?」
「確かに事件直後はな……。けど、俺は頼って欲しかった。友達として」
「じゃあどうして、俺を「猫殺し」なんて呼んだんだよ」
大神君の辛そうな表情と言葉に、獅童君は眉根を寄せた。
「何でって、分かんねえのか?」
二人の間に流れる沈黙。
「うーん、わからん」
右へ左へ頭を傾げながら悩む大神君に、獅童君はガックリと肩を落とす。
「……お前と関われる最終手段だからだよ」
「最終手段?」
「お前、猫殺しって言った奴らには結構言い返してただろ? だから、そう呼んだら反応してくれるんじゃないかと思ったんだ。ずっと無視されてたから。でも、それがお前を傷つけてたんだよな。ごめん」
素直に謝る獅童君に、面食らったような表情を作る大神君。
「そうか……そうだったのか……」
途切れる会話。
無言の二人。
けれど、言葉を交わさずとも、すれ違っていた時を埋めていくような穏やかな空気が流れていた。
良かった……。
でも、ここで終わっていいのだろうか。
誤解が解けたとしても、昔みたいに仲良く出来るかどうかは別問題だ。
このまま解散なんてしてはいけない。
連絡先の交換はもちろん、次に会う約束も取り付けて、今日みたいに皆で遊んだり、勉強会をしたり、それと――、
「鈴ちゃん」
「は、はい!」
反射的に返事をした私の前に、微笑みを浮かべた獅童君が立っていた。
「君に会いたかったのは、優牙との仲を取り持ってもらおうと思ったからなんだ」
「それで学園祭に……?」
獅童君は頷き、恥ずかしそうに頭を掻いた。
