「ずっと、謝りたかったんだ。私が猫の事をクラスの子に話したせいで、どんどん噂が広がって、それで――最低だよね。私、クラスの子達と一緒になって鈴をせめて」
「仕方ないよ。私が死なせてしまったのは事実だし」
「鈴は悪くない。鈴だって事故で怪我して、それなのに私――」
「もういいよ。私はもう怪我も治って元気だし、それに、今、またこうして昔みたいに話が出来て凄く嬉しいから」
そう言って私もブランコに座った。
嬉しさなのか、懐かしさなのか、潤んだ瞳を乾かす為にブランコを漕ぐ。
「鈴……」
陽華ちゃんのか細い声。
もしかしたら、私以上に罪悪感を抱え込んでいたのかもしれない。
終わらせなきゃ――。
私は子供のようにブランコを漕いで気持ちを切り替えると、勢いよく飛び降りて深呼吸した。
「あ、あのさ、連絡先、聞いても良いかな?」
上手に言えただろうか。
伝わっただろうか。
ポケットの中のスマホを握りしめ、陽華ちゃんを見つめると、満面の笑みがかえって来た。
「もちろん! ――っていうか、実はルミさんに聞いて番号知ってるんだ。一度だけ掛けたんだけど、切られちゃって……」
「え、いつ!?」
「うーん、いつだったかなあ。何か月か前、夕方だった事は覚えてるんだけど……」
記憶を辿る。
見知らぬ番号からかかって来たのって――。
「あっ!?」
学校を休んでいた、あの時だ!
「思い出した?」
「ごめん、嫌がらせだと思って切っちゃった」
「あはは、やっぱり」
「本当にごめん」
「謝らなきゃいけないのは私の方だよ。そこまで追い詰めてたんだね……」
陽華ちゃんの声が再び消え入りそうになる。
――違う。
これはもう昔の話。
二人共まだ小学生で、考えも行動も未熟だった時の事。
高校生だってまだまだ子供だけど、今、こうして笑って居られるのは成長した証拠だ。
「あのさ、陽華ちゃん。この話は今後一切しないって決めない?」
「え?」
「だって、このままだと、お婆ちゃんになっても謝り合いしてそうなんだもん」
私の提案に、陽華ちゃんはニッコリと微笑む。
「確かにそうだね……」
寒空の下、二人で笑い合う。
こんな日が来るなんて想像もしていなかった。
楽しい。
嬉しい。
今なら、帽子を被っていない自分の姿を、自信を持って鏡に映せる気がした。
きっと、星崎君の前でも――、
遊園地での出来事にリベンジを誓っていると、
「見つけたっ!」
唐突に降って来た男の声に、背筋が凍った。
私と陽華ちゃんは顔を見合わせる。
まさか、ここまで追いかけて来たの!?
「仕方ないよ。私が死なせてしまったのは事実だし」
「鈴は悪くない。鈴だって事故で怪我して、それなのに私――」
「もういいよ。私はもう怪我も治って元気だし、それに、今、またこうして昔みたいに話が出来て凄く嬉しいから」
そう言って私もブランコに座った。
嬉しさなのか、懐かしさなのか、潤んだ瞳を乾かす為にブランコを漕ぐ。
「鈴……」
陽華ちゃんのか細い声。
もしかしたら、私以上に罪悪感を抱え込んでいたのかもしれない。
終わらせなきゃ――。
私は子供のようにブランコを漕いで気持ちを切り替えると、勢いよく飛び降りて深呼吸した。
「あ、あのさ、連絡先、聞いても良いかな?」
上手に言えただろうか。
伝わっただろうか。
ポケットの中のスマホを握りしめ、陽華ちゃんを見つめると、満面の笑みがかえって来た。
「もちろん! ――っていうか、実はルミさんに聞いて番号知ってるんだ。一度だけ掛けたんだけど、切られちゃって……」
「え、いつ!?」
「うーん、いつだったかなあ。何か月か前、夕方だった事は覚えてるんだけど……」
記憶を辿る。
見知らぬ番号からかかって来たのって――。
「あっ!?」
学校を休んでいた、あの時だ!
「思い出した?」
「ごめん、嫌がらせだと思って切っちゃった」
「あはは、やっぱり」
「本当にごめん」
「謝らなきゃいけないのは私の方だよ。そこまで追い詰めてたんだね……」
陽華ちゃんの声が再び消え入りそうになる。
――違う。
これはもう昔の話。
二人共まだ小学生で、考えも行動も未熟だった時の事。
高校生だってまだまだ子供だけど、今、こうして笑って居られるのは成長した証拠だ。
「あのさ、陽華ちゃん。この話は今後一切しないって決めない?」
「え?」
「だって、このままだと、お婆ちゃんになっても謝り合いしてそうなんだもん」
私の提案に、陽華ちゃんはニッコリと微笑む。
「確かにそうだね……」
寒空の下、二人で笑い合う。
こんな日が来るなんて想像もしていなかった。
楽しい。
嬉しい。
今なら、帽子を被っていない自分の姿を、自信を持って鏡に映せる気がした。
きっと、星崎君の前でも――、
遊園地での出来事にリベンジを誓っていると、
「見つけたっ!」
唐突に降って来た男の声に、背筋が凍った。
私と陽華ちゃんは顔を見合わせる。
まさか、ここまで追いかけて来たの!?
