隣街の駅に着くと、クラスメイトの三人が私達を見つけて手を振っていた。
天城さんと、学園祭の時に衣装合わせをしてくれた佐藤さん。そして、ムードメーカの山本君……いつだったか私の帽子を脱がそうとした人だ。
「大神も行く気になったのか!?」
嬉々として駆け寄る山本君に、天城さん達も歓喜の声を上げる。
「悪い、俺は別の用事があるから、また今度」
「なんだ。つまんねーなー」
懸命に謝罪する大神君に、三人は一斉に肩を落とした。
大神君、人気者になったなぁ……。
寂しさがひっそりと湧きあがった。
他愛も無い会話。
小競り合いをする大神君と星崎君。
お姉さんのように微笑むしっかり者の天城さん。
数か月前までは想像も出来なかった光景に、嬉しさよりも不安を感じた。
こんな楽しい空間に、私は居ても良いのだろうか。
場違いという言葉が頭を過る。
私は――、
「じゃ、俺あっちだから」
鬱々とした気持ちを察してくれたのか、大神君が私の肩を優しく叩いて呟いた。
「うん……気を付けてね」
「あぁ、愛原もな」
名残惜しく見つめる私とは裏腹に、大神君は急ぐように立ち去る。
本当にこれで良かったのかな……。
冷えた体に虚しさが広がって行った。
後悔しながら大神君の背中を見つめていると、天城さんの爽やかな号令が響く。
「さて、バスが来たみたいだし、私達も行くわよ!」
一気に場の空気が盛り上がった。
バスへ乗り込む足取りも軽い。
それだけこの日を楽しみにしていたのだろう。
星崎君も、いつも以上に笑顔が輝いて見えた。
みんなの気持ちを壊す訳にはいかない。
今日一日、楽しまないと……。
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