無力感から足取りが重い。
何が愛原の為だ。
余計な事して傷付けて。
振り回しているのは俺の方じゃないか。
俺は何がしたいんだ?
本当に救おうとしたのか?
愛原を利用して、自分が救われようとしていただけじゃないのか?
俺は――、
「やっと見つけた」
突然、華やかな声が降り注いだ。
分厚い霧が晴れて行くような感覚。
鬱々としていた俺の前に現れたのは星崎だった。
不思議と気持ちが楽になる。
「星崎……」
「誰もお前らの連絡先を知らないから、探すの大変だったぞ」
「ごめん。クラスの皆はどうしてる? 愛原が悪く言われて無いと良いんだが」
「それは心配ない。愛原さんは朝から体調が悪かったって事にしておいた」
「どうして、そんな事……」
「何か訳ありみたいだったから」
言い辛そうにする星崎を、思わず抱きしめそうになって必死にこらえた。
天使かこいつは……。
良い奴過ぎて逆に心配になるレベルだ。
それに比べて俺は――。
「ごめん、なんか吐きそう」
倒れ込むように星崎の肩に体を預ける。
「おい! トイレ行けトイレ!」
「あぁ、そうする。あとは頼んだ」
「頼むって何を?」
「愛原、屋上にいるから」
逃げるように言って立ち去ろうとすると、星崎は飛び跳ねるように俺の腕を掴んだ。
「お、俺で大丈夫なのか? 天城さんに頼んだ方が……」
「良いのか、それで」
「え?」
「話すきっかけ欲しかったんだろ?」
「それはそうだけど、タイミング的に今じゃない気がする」
星崎の不安そうな訴えに、俺は満面の笑みを返す。
「お前なら大丈夫だ」
「いや、そんな笑顔を向けられてもだな……」
「悪い、これ以上は俺の胃袋が持たない」
ワザとらしく口元を覆いながら言うと、星崎は慌てて俺の腕を解放した。
「わ、分かった、一人で行くよ」
「あぁ、頼む……」
頑張れよ。
狼狽しながらも屋上に向かう星崎。
その背中に声援を送りながら、俺は再び闇に落ちた。
結局、人任せか……。
やっぱり俺は最低だ。
**********
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何が愛原の為だ。
余計な事して傷付けて。
振り回しているのは俺の方じゃないか。
俺は何がしたいんだ?
本当に救おうとしたのか?
愛原を利用して、自分が救われようとしていただけじゃないのか?
俺は――、
「やっと見つけた」
突然、華やかな声が降り注いだ。
分厚い霧が晴れて行くような感覚。
鬱々としていた俺の前に現れたのは星崎だった。
不思議と気持ちが楽になる。
「星崎……」
「誰もお前らの連絡先を知らないから、探すの大変だったぞ」
「ごめん。クラスの皆はどうしてる? 愛原が悪く言われて無いと良いんだが」
「それは心配ない。愛原さんは朝から体調が悪かったって事にしておいた」
「どうして、そんな事……」
「何か訳ありみたいだったから」
言い辛そうにする星崎を、思わず抱きしめそうになって必死にこらえた。
天使かこいつは……。
良い奴過ぎて逆に心配になるレベルだ。
それに比べて俺は――。
「ごめん、なんか吐きそう」
倒れ込むように星崎の肩に体を預ける。
「おい! トイレ行けトイレ!」
「あぁ、そうする。あとは頼んだ」
「頼むって何を?」
「愛原、屋上にいるから」
逃げるように言って立ち去ろうとすると、星崎は飛び跳ねるように俺の腕を掴んだ。
「お、俺で大丈夫なのか? 天城さんに頼んだ方が……」
「良いのか、それで」
「え?」
「話すきっかけ欲しかったんだろ?」
「それはそうだけど、タイミング的に今じゃない気がする」
星崎の不安そうな訴えに、俺は満面の笑みを返す。
「お前なら大丈夫だ」
「いや、そんな笑顔を向けられてもだな……」
「悪い、これ以上は俺の胃袋が持たない」
ワザとらしく口元を覆いながら言うと、星崎は慌てて俺の腕を解放した。
「わ、分かった、一人で行くよ」
「あぁ、頼む……」
頑張れよ。
狼狽しながらも屋上に向かう星崎。
その背中に声援を送りながら、俺は再び闇に落ちた。
結局、人任せか……。
やっぱり俺は最低だ。
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