「ったく……」
そんなイリアスの後ろ姿を見ながら、私はにーっと笑いながら言った。
「今度お前が体調崩したら、オレがしっかり看病してやるからな!」
「なんだよそれ」
そうして、私たちはいつもの席に着いた。
今日の朝食はミルク粥だ。胃に優しそうで回復したばかりの身体には有難かった。
早速食べ始めながらイリアスが言った。
「そういや、聖女様の力で昨日みたいな風邪も治せたりするんかな」
「え?」
「なんか、できそうじゃね?」
それを聞いて私はミルク粥を口に運ぼうとしていた手を止め、ぽかんとしてしまった。
……そうだ。昨日は全く思いつかなかったけれど。
(傷が治せるんだから、風邪も治せたんじゃないのか?)
「まあでも聖女様に風邪を治してください、なんてお願いできるわけねーよな!」
「そ、そうだよな!」
イリアスと一緒に笑いながら、私は心の中で昨日試してみればよかったーと悔やんでいた。
でもその後でふと気付く。
(そういえばあの子、聖女の力は使えるのかな)



