「お前は間違いなく、伝説の聖女だ」

 微塵も疑いのない確信に満ちたその言葉にぐっと喉の奥が苦しくなって、その途端だった。

「――あ、あれ?」

 身体が淡く輝き出したかと思うと、元の女の姿に戻ってしまった。
 戻れと願ってなんていないのに。

「な、なんで……」

 無意識に戻りたいと願ったのか、それともやはり熱のせいでこの力もおかしくなっているのだろうか。
 どちらにせよ、今誰か、イリアスでも部屋に入って来たら大変だ。
 早くトーラの姿に戻らなければと慌てて集中しようと目を瞑って。

「そのままでいい」
「!」

 彼が私の両手を握っていた。
 手なんてもう何度も繋いでいるのに、胸がドキドキした。
 真剣な瞳とぶつかって、でも咄嗟にまた逸らしてしまった。

「……なぜ、目を合わせようとしない」
「べ、別に……」
「昨日もだ。俺の合図から目を逸らしただろう」

 やっぱり気付かれていた。