馬房の掃除、餌の準備から飼い付け(餌やりのこと)など早速やることはたくさんあった。
でもやっぱり馬は可愛い。こんなに近くでお世話が出来て本当に幸せだった。
(早く乗ってみたいなぁ)
時間があっという間に過ぎ汗まみれになった頃だ。
俄に厩舎の外が騒然となった。
なんだ? そう思い厩舎の外に出てみて私は目を見開いた。
城の方向からラディスが歩いてくる。
その隣に、淡い色のドレスを着た美しい女性がいた。
「聖女様!?」
誰かが声を上げた。
それを聞かなくても、一目見た瞬間に彼女がそうなのだとわかった。
(あの子がもう一人の聖女……)
歳は私とそう変わらなそうだが、可憐という言葉がぴったりで思わず守ってあげたくなるような儚さのある子だった。
ふわりとした長い金髪を靡かせ柔らかい微笑みを浮かべ歩く姿はまさに『聖女様』の名に相応しい。
こちらにまで甘い良い香りがしてきそうだ。
一方、こちらは汗まみれの泥まみれ、おそらく匂いも酷いだろう。
なんかもう比べるのさえ申し訳なかった。
……それにしても。
「絵になるふたりだなぁ」
誰かの呟きが聞こえてきた。
聖女様を護るのは騎士の役目、という言葉が蘇る。
本当に、お似合いのふたりだと思った。



