そんなイリアスの話を聞いている間、私は開いた口がふさがらなかった。
(聖女が見つかった? どういうことだ?)
だって、聖女は私のはずで。
私が聖女だということは、こことは異なる世界から来たことと、聖女の力が使えるという点でおそらく間違いない。
だとしたら名乗り出てきたというその聖女様は一体何者だ?
聖女は何人もいるものなのか?
だとしたら、その聖女様も私と同じく日本から来たのか?
一瞬で様々な疑問が頭を駆け巡った。そして。
(とにかく、その聖女様に会いたい!)
私は急いでベッドをおりた。
「なんだよ、やっぱトーラも気になるんじゃねーか。この間は自分はそんな興味ないみたいに言ってたのによ」
「ま、まあな。急いで支度するから」
「おう! 早くな!」
このことをラディスは知っているのだろうか。
いや、騎士団長なのだからきっといち早く情報は入ってきているはずだ。
あいつは一体どう思っただろう。
そんなことを考えながら、私はいつもより急いで身支度を済ませイリアスと共に部屋を出たのだった。



