(だって、こんなのズルいだろ……!)

 こんなサプライズ感動するに決まっている。
 危うく涙まで出そうになって、私は満天の星に向かって叫んだ。

「よーし! 絶対に騎士になってやるからなー!」
「……だが、自分が女であることは忘れるなよ」
「は?」

 声のトーンが微妙に変わった気がして視線を戻すと、なんだか不機嫌そうな顔があった。

「なんだよ、まさか今更女だから騎士にはなれないとか言うなよ」
「そうではない」

 ラディスはふいと私から視線を外した。

「今日、同室の奴に抱きつかれていただろう」
「え? あー、騎士になれてよっぽど嬉しかったんだろうな」

 見てたのか、と思いながら苦笑する。

「でも男同士であんなの普通だろ? さっきだって飲みの席で散々絡まれたし」
「そうやって安易に身体を触れさせるなと言ってるんだ!」
「へ?」

 急に怒るように言われてぽかんとしてしまった。

「見た目は男でもお前は女なんだ。自分の身は大事にしろ。同室の奴もお前はイイ奴だと言うが、お前が女だとわかったらどうなるかわかったものでは」
「な、なんだよ、いきなり」

 友人のことを悪く言われた気がしてムっとする。