するとイリアスは身体を離し満面の笑みで言った。
「お前もやったな、トーラ。合格おめでとう!」
「ありがとう。オレもすぐに追い付くからな!」
「待ってるぞ!」
そうしてふたりで笑い合っていると。
「おめでとうございます。ふたりとも」
「キアノス副長!?」
イリアスがびしっと背筋を伸ばし、私も同じように姿勢を正して彼を見上げた。ラディスほどではないが彼も背が高い。
穏やかな笑みを浮かべ、キアノス副長は言った。
「今後の活躍を期待していますよ、イリアス」
「はい!」
「トーラも、この調子で次の試験も頑張ってくださいね」
「ありがとうございます!」
私たちだけでなく、皆にこうして激励の言葉をかけているのだ。しかも下っ端の私に対してもこの丁寧な言葉遣い。
これもキアノス副長が皆に慕われている理由だろう。
(あいつも、このくらい優しくていいのにな)
なんてことを思っていると。
「キアノス! 何をしている、行くぞ!」
奴の鋭い声が飛んできた。



